編者序文 一ノ風
 基本方針としまして、ここに載せる資料には資料的価値よりも、内容と実質を知ることを目的としたいと思います。そう言うわけで、カタカナはひらがなに直し、歴史的仮名遣いも現代仮名遣いに改めました。読みにくい漢字にも括弧をつけて読み方を併記してあります。 また、原文には句読点は有りませんが、編者が適当に打っておきました。  
引用は自由にしていただいて結構です。  

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第一回日英同盟協約
明治35年(1902年)1月30日倫敦(ロンドン)において調印
同年2月12日官報彙報欄掲載


(訳文)

 日本国政府及び大不列顛(大ブリテン)政府は偏(ひとえ)に極東に於いて現状及び全局の平和を維持することを希望し、 且つ清帝国及び韓帝国の独立と領土保全とを維持すること及び該二国に於いて各国の商工業をして均等の機会を得せしむことに関し、 特に利益関係を有するを以って茲(ここ)に左の如く約定せり.

第1条

両締約国は相互に清帝国及び韓帝国の独立を承認したるを以って該二国孰(いず)れに於いても全然侵略的趨向に制せらるることなきを声明す. 然れども両締約国の特別なる利益に鑑み即ち其の利益たる大不列顛に取りては主として清国に関し、 また日本国に於いては其の清国に於いて有する利益に加うるに、 韓国に於いて政治上並びに商業上及び工業上格段の利益を有するを以って、両締約国は若し右等利益にして列国の侵略的行動に因り、 若しくは清国又は韓国に於いて両締約国孰れか其の臣民の生命及び財産を保護する為干渉を要すべき発生に因りて侵迫せられたる場合には、両締約国孰れも該利益を擁護する為必要欠くべからざる措置を執り得べきことを承認す。

第2条

若し日本国または大不列顛国の一方が上記各自の利益を防護する上に於いて列国と戦端を開くに至りたる時は、 他の一方の締約国は厳正中立を守り併せて其の同盟国に対して他国が交戦に加わるを妨ぐることに努むべし。

第3条

上記の場合において若し他の一国又は数国が該同盟国に対して交戦に加わるときは、 締約国は来たりて援助を与え協同戦闘に当るべし。 講和も又該同盟国と相互合意の上に於いて之を為すべし。

第4条

両締約国は孰れも他の一方と協議を経ずして他国と上記の利益を害すべき別約を為さざるべきことを約定す。

第5条

日本国若しくは大不列顛国に於いて上記の利益が危殆に迫れりと認むる時は、両国政府は相互に十分且つ隔意無く通告すべし。

第6条

本協約は調印の日より直ちに実施し、該期日より五ヶ年間効力を有するものとす。 若し右五ヶ年間の終了に至る12ヶ月前に締約国の孰れよりも本協約を廃止するの意思を通告せざるときは、 本協約は一方が廃棄の意思を表示したる当日より1ヵ年の終了に至る迄は引き続き効力を有するものとす。 然れども右終了期日に至り同盟国の一方が現に交戦中なる時は、本同盟は講和結了に至る迄当然継続するものとす。



右証拠として下名は各其の政府より正当の委任を受け之に記名調印するものなり
1902年1月30日 龍道(ロンドン)に於いて本書二通を作る



     大不列顛国駐箚(駐留の意) 日本国皇帝陛下の特命全権大使

                 林  薫          印

     大不列顛国皇帝陛下の外務大臣

                ランスダウン         印








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