日本の英雄論
〜はじめに〜
by ふじ
『歴史の復元力』という言葉をご存知ですか?
タイムマシンについて語る時に用いられる言葉で、人が過去の世界に行って何かを変えた(例えば人を殺した)としても歴史はそう簡単に変わるものではないだろう、という意味の言葉です。つまりSFの言葉です。
ここで、人によってはこのように思われるかもしれません。
「私の遠い先祖が過去に殺されたら私は存在しない筈じゃないか。それは歴史が変わったことにならないのか?」と。
そういう方にはこう答えましょう。
「ご心配なく。あなたがよほどの天才で将来独裁者にでもならない限りあなた個人が歴史を変えることはないでしょう。」と。
つまりここで書いている「歴史」という言葉は歴史の大きな流れのことであって、個々の人間についてはあえて無視しております。念のため。
少し話は変わりますが、数年前に「反三国志」がブームになってから、雨後の筍のように歴史if小説が発売されるようになりました。「もし関ヶ原の戦いで西軍が勝っていたら」とかいうヤツで、ご丁寧に勝った後のことまで書いてくれております。歴史をがらっと変えて。
私はこういう書物があまり好きではありません。いやあえてはっきり嫌いと言ってしまいましょう。
理由としては、まずろくに考察もせずに作家がお金儲けのために安易に書かれたような作品が多いことです。いや、全てとは言いませんが。
そりゃあ書く側としては楽でしょう。人物の名前はすでに決まっているし、性格もあまり考えないでいいし、あとはそれを用いて架空の世界を築き上げればよいのですから。
所詮はifだ、ということで歴史の考察すらまともにしなくていいのです。テレビ出演等で忙しい作家から見れば魅力的なお仕事でしょう。まあこれがある程度売れてしまう、というのも問題なのですが……。
もう一つの理由は、こういう書物を書くことが、その時代に生き、最善の方法を必死に考えて過ごしてきた歴史上の人物の行動にある意味ケチをつける行為のように思えて、それはその人物に対する侮辱なのではないか、と思うからです。
これについては私が勝手に感じるだけかもしれませんが……。
例えば、関ヶ原の戦いで誰が勝っても歴史の流れにはたいした差が出るとは私には思えません。それでも戦力的にはやっぱり徳川が政権を取っただろうし、もしそうでなくても将軍名が変わるだけで最終的には武家による農業重視の長期政権が誕生したのではないかと考えます。
細かい点、年は変わるでしょうが、それだけのことで歴史の流れはたいして変わらないでしょう。
これだけ行を消費した挙げ句、何が言いたかったかと言うと、『歴史の復元力』とはそれだけ強いものである、ということです。
え、if小説批判は何だ?と。 それはただ私が書きたかっただけです。例として全く関係ないことでもないかな、とも思ったので。大目にみてくださいよ〜。所詮理系の文章なんですから〜。(^^;;
それでも、たとえ『歴史の復元力』が強くても「この人物がいなかったら歴史の流れは違っていた」という人物は確かに存在すると思います。それまでの歴史の流れを大きく変えた人物のことです。ここでは、そういう人物を「英雄」と呼ぶことにします。
この連載は私が独自の判断(偏見ともいう)で決めた日本の英雄について書いていこう、というものです。
え、何故日本だけか? って。それは日本しかわからないからです。世界で挙げていくときりがないような気もするし、知識も伴わないので。
な〜に、そんなに長くは続きはしません。今のところ3人ほどしか挙がってなくて、「これでいいのかな?」と思っているくらいですから。
あと、その人物に対する細かい説明も省かせていただきます。この徹歴には私よりも詳しい方がたくさんいらっしゃるので、私が拙い説明をするよりもその方に聞いたほうがわかりやすく説明していただけると思います。
拙い文章ですが、これによって日本の歴史の流れというものを勉強あるいは再確認する場を作れるといいな、と思っております。勿論私自身も。
よって、フォーラムをお借りして私の文章に対する意見、批判、抗議を受け付けたいと考えております。何でしたらメールでも結構です。ウイルス入りや罵詈雑言でない限りしっかりお返事を書かせていただきます。自分も勉強になるので。
以上、「はじめに」でした。 ( 10月最後の日、愛鳥リューと戯れつつ)
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