トップページへ!
徹歴序文。徹歴の始まりはここから
徹歴案内図。徹歴に初めて訪れた方はご参考に
徹歴の常連たちの紹介です。あなたも常連になったら書こう!
徹歴の主宰支部長の部屋
徹歴瓦版。最新の歴史ニュースをキャッチ
ゲストブック。来訪の記念にどうぞ
徹歴掲示板
徹歴フォーラム
徹歴チャット
徹歴イベント掲示板
徹歴伝言板
徹歴リンク
よもやま社中








徹歴ラウンジ
徹歴図書館
徹歴研究所

「役に立つ歴史」 ひろとくの独白
by ひろとく



私たちはしばしば歴史を本当に理解していない。そして単にそこを通過しているだけの場合が多い。誰が何をして、何がどうなって、という事実関係だけを、たとえそれだけではいけないと思ってみたところで、やはりそれだけしか学べないことがよくある。

高校の頃、ちょうど夏が真っ盛りだった時期に機会があってイギリスに滞在した。いわゆるホームステイという奴も体験してみたのだが、その時イギリスでは戦後50年ということで日本の戦争責任に対する様々な報道がなされていた。
ある夜、私は、ホストと一緒にそのなかの一つの番組を見ていた。そこでは、まあお決まりのように日本軍の収容所の映像が映し出され、骸骨のようにやせ衰えた英軍兵士がふらふらになりながら連合軍の軍医の診察をうける光景があった。そして生存者のインタビューへと続き、日本軍の捕虜待遇へひとしきり非難を浴びせた後に、ふと画面をみると天皇の閲兵式の映像が流れた。

報道とは恐ろしいものだ。映像の流れのせいで、その時私の目には、馬上の昭和天皇がヒトラーやムッソリーニと同じような存在にしか見えなかった。まるでこの人一人の領土欲によって、東亜戦争が引き起こされたかのようだった。そして事実、ナレーションも「日本の皇帝ヒロヒトは東南アジアの資源に目をつけ・・・」と彼自身の意志によってこの戦争が起こされた風な解釈をつけた。

幸いにして僕らは、大戦によって自他国民を大量殺戮した直接の首謀者が、この人ではないことを知っている。少なくともあらゆる同時代的資料を見る限り、いくつか好戦的な発言もあるものの、皇太子時代から外遊を重ねたこの人は、日本の領土が広がって行くことに何度も危惧を漏らしている。占領地域の統治政策や捕虜の待遇についても侍従に何度も下問して、その都度軍部に説明をもとめている。
無論最高元首として軍部を止められなかった責任はあるかもしれないが、「そうせい公」にならなければ、多分彼も昭和維新の過激な攘夷主義者たちに命を奪われることになったろう。世の伝記の中には彼を平和主義者として持ち上げすぎる嫌いもあるが、それを差し引いてみても彼には苦悩があったということが伺える。

そのうちにふと老人が画面に映った。もう80歳をとうに過ぎてそうなその老人は、直接天皇に合った自分の経験を語り、「彼は知的で礼儀正しい本当の紳士だった」と彼を評した。このような報道の姿勢に、イギリスのジャーナリズムの骨太さを垣間見た気がした。

そして番組も終わり、なんとなく気まずい雰囲気でもあったが、すぐにそこの家のおやじさんが私に尋ねてきた。いわく、「天皇はまだ日本を支配しているのか?」
私は答えた。「いや、もう支配してはいない。彼は一種のシンボルになった」
「シンボル?」
「憲法では、日本の国民の平和と統合の象徴ということになっている」
「よく意味がわからんが、つまり彼には権力はまだあるのか」
「政治的権力はこれっぽっちもない」
ここまで説明すると、彼は分かったような分からないような顔で考え込んだ。そして私に言った。
「But you know, he's Japanese emperor, isn't he!(でも日本の皇帝なんだろ!)」

私たちは現代史をまぎれもなく通過している。少なくとも私はそうだ。未だに日米安保について確固たる見解をのべる勇気が出ないし、中東危機やアイルランド問題の解決策も考え付かない。日本の土地が高いのもどうにかしたいけど方法が思い浮かばないし、教育体制ももう少しいいやり方があるような気がしてならない。それらを知ってはいても、本質で理解しきれていないからだ。というか当事者の思惑や利害関係をすべて知ることが出来ないのだ。

もちろんそういう事を私が考え付こうとすること自体が馬鹿馬鹿しいのは百も承知だが、それを承知の上で、あえて考えなくてはならないと思う。
私と話したホストのおっさんはしがない自動車教習所の教官に過ぎなかったが、私からいろいろと日本国憲法について聞くと、それでもアメリカがいるからこそ日本がそういうキレイ事をいえることを見抜いた。そして、「それは確かに素晴らしいがもっと現実的な憲法を作るべきだ」とか「他の国では一般的に日本がそういう憲法をもっているなんて全然知らないし、まだアメリカの占領下にある(!)と思ってるんじゃないかな」とか言っていたが、これこそが、世界中の人たちが思う、真実の日本ではないのだろうか。
そして、こうした別の真実は、並みの勉強では一生学ぶことができない。キッカケが必要だ。それを用意するのが、徹歴の使命ではないだろうか(キザです、ハイ。自分に酔っております^^;)。


すこし脱線するが、日本の平和主義は、理念こそ全く素晴らしいものだが、実態は全然素晴らしくないと思う。というのも、別に在日アメリカ軍がいてその核の傘の下にいるから素晴らしくないのではなく(誤解されないように)、ただ、 それを他国に輸出することが出来ないからだ。その平和を他国の人々に味あわせてやれないからだ。
素晴らしい製品、アイディアは今の世の中では瞬く内に世界中に広がっていくというのに、日本の平和主義だけは輸出することができない。例え輸出しようと誰も買ってくれないからだ。しかしこれは本論とは関係ないのでここでは多くを言わない。ただ日本の平和主義は、所詮はクウェート国民にとっての石油と変わりない、戦争での多くの犠牲がもたらしてくれた我々だけの宝ではないかと、時々後ろ向きに考えたりする。


あまり(いや全然^^;)歴史とは関係ない話だったが、結局私にとっては、歴史とはマクロ的には現代とその未来を考える上での指標であり、どちらかといえば政治史や経済史に密着したものを学びたい。あとミクロ的には、自分の生き方を考える時に、先人の人生を参考にするくらいのもので、それ以上でも、それ以下でもない。そして私が徹歴にもとめるのは、支部長の「歴史の真相」みたいな、これまでとは違ったユニークな歴史解釈を私に提示してくれることであり、それもある程度実用性を伴うものであれば文句ナシ!ということになろうか。

うん、一言で言えば「役に立つ歴史」!ってことでしょうね。役に立たなきゃ意味がありません。

(Byひろとく、降り注ぐ雨に悩乱しつつ)←誰かのマネ(^^:)













徹歴のコンテンツの著作権は徹歴に属します。
copyright. tetsureki.com all rights reserved

tetsureki@infoseek.jp


2ch勢い
2ch