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アケメネス朝における宗教
文/西表山猫


アケメネス朝における宗教ついての考察

 ヘロドトスの「歴史」に、(テキスト131、132、140)

 私の知る限り、ペルシア人の風習は次の通りである。ペルシア人は偶像崇拝をはじめ神殿や祭壇を建てるという風習を持たず、むしろそういうことをする者を愚かだとする。――――中略――――ペルシア人は天空全体をゼウスと呼んでおり、高山に登ってゼウスに犠牲をささげて祭るのが彼らの風習である。また彼らは日、月、地、火、水を祭る。彼らが太古から祭るのは右のものだけであるが、後になってさらに「(アプロディテ)ウラニア」を祭ることも覚えた。アッシリア人やアラビア人からそれを学んだのである。なおアッシリア人はアプロディテのことをミュリッタ、アラビア人はアリラト、ペルシア人はミトラとよんでいる。

 ペルシア人が先に挙げた神々を祭る儀式の仕方は次のようである。ペルシア人は祭儀を行うに当たって、祭壇も設けず、火もたかない。また、酒を注ぐ儀式もなく、――――中略―――――どれかの神に供犠しようと思う時には、犠牲にする獣を清浄な場所へ曳いて行き、テイアラ(冠)の上にたいていは の葉をめぐらしてかぶり、その神の名を唱える祭りをする者は自分個人だけのために幸福を祈ることは許されず、ペルシア国民全体と国王の福祉を祈願する。自分もペルシア国民全体の内の一人だからである。犠牲獣を切り刻み肉を煮ると、なるべく柔らかい草−−−−たいていの場合クローヴァー−−−−を下に敷き、その上に肉を全部のせる。

 こういう準備が整うと、マゴスが一人そこへきて祈祷の呪文を唱える。彼らの話では、この呪文は神々の誕生を歌った物であるという。いずれにせよ神への供犠は、マゴスなしではせぬ慣わしである。それから暫時くおいて、祭主は肉をさげ、あとは自分の好きなように処理するのである。

 ――――略――――つまりペルシア人の死骸は葬る前に、鳥や犬に食いちぎらせるということである。マゴスたちがこういう葬り方をすることは私も知っている。彼らはそれを公然とやるからである。しかし(一般の)ペルシア人は、死骸に鑞を塗って土中に埋葬する。――――中略―――――マゴスたちは犬と人間以外はどんなものでも自分の手で殺し、蟻や蛇をはじめその他の爬虫類や鳥類を無差別に、争って殺すのである。

ヘロドトスのテキストを読む場合、そこに書いてある内容より、書いてない部分に注意を払わなくてはならない。ヘロドトスは火の神殿、ハオマ、牡牛信仰、宇宙秩序の二元論、倫理領域の清浄、ゾロアスターについて全く述べられていない。

 

また、3つの碑文には以下のように書かれている。

1、「アフラマズダーと全ての神々の佑助を得て」ダレイオスは帝国を建設し、そしていくつもの反乱を鎮圧した。

2、ダレイオスは、アーヤダナ(祀堂)を再建した。というのも、スメルディス(カンピュセス王の弟パルディヤ)の名をかたりマゴスのガウマータが王位簒奪を企てた際に、これを破壊してしまったからである。

3、アルタクセス二世は、アフラマズダーと並んで、アナヒーターとミスラを観請している。

4、アケメネスのヴィシュタスパの息子、全ての国の王にして諸王の王ダレイオスはかたった。私はSogdianaからKuschIndienからSardesまでの王国を支配する。これらは偉大な神々の神アフラマズダーが私に与えたものである。アフラマズダーが私を可愛がり、私の家を豊かにした。

これらの中にアフラマズダーやミスラ、アナヒーターの名は出てくるが、それらの対極をなすアンラ・マンユ(アフリマン)の名はない。やはり、碑文からもアケメネス朝期のペルシャ人の宗教がゾロアスター教だと断定するのは困難である。

では、ヘロドトスは別の宗教を記述していたのか?

ヘロドトスはマゴスが鳥獣に自らの遺体を食べさせると記述しているが、これは今日、ゾロアスター教徒が一般的に行っているが、当時はメディア人の風習で、ペルシャ人の習慣ではなかった。ペルシャの王たちの内、ある王は埋葬されており、ある王は厚い石に囲まれた暮廟に葬られ、またある王は堅い岩盤をくり抜いた王暮に安置されている。

また、カンピュセスは人を生き埋めにしたり、アマシスの遺骸を焼き捨てたりしている。カンピュセスはその事でペルシャ人から火を汚したことで非難されている。これらは、明らかにゾロアスター教の教えに反する行為である(生き埋めや遺骸を焼く行為)。

しかし、ゾロアスターの教えが浸透しつつあった証明に、ブルターク英雄伝に、エウプラテスと言う名のペルシャ人奴隷の話がある。「ピロニュモス様、私を火葬にしないでください。私を火に触れさせて、火を汚さないでください。ご主人様、私はペルシャ生まれのペルシャ人です。私どもにとって、火を汚すことは死よりも重い罪なのです。どうか私を土の中に葬って下さい。でも、私の亡骸に清めの水をふりかけてはなりません。というのも、私は河川もまた崇めているからです。」と、ある。

これらから、アケメネス朝期におけるゾロアスター教は正しく社会への浸透期であり、ゾロアスター教自体がそれ以外の原始宗教に取って代わっていた。アケメネス朝期の終わりにはほぼ浸透しつくしたのであろう。と考えるのはおそらく間違いではないだろう。

ただし、アケメネス朝期のペルシャ人の宗教については現在も研究されている途中で、結論はまだまだ出ないであろう。

 

主な考文献

ゾロアスター教論考(エミール・バンヴェニスト、ゲラルド・ニョリ前田耕作訳)

IRAN(ゲハルド・シュバイツッアー)

ゾロアスター教(岡田明憲)

ゾロアスター教の悪魔払い(岡田明憲)

ヘロドトス

ストラボン

その他

 

写真(ダレイオスの黄金の碑文)

Kunstschaetze











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