卑弥呼とは |
原文
その国、もとまた男子を以て王となす。とどまること七、八十年、倭国乱れ、相攻伐すること年を歴(ふ)。乃ち共に一女子を立てて王となす。名づけて卑弥呼といふ。鬼道に事(つか)へ、能(よ)く衆を惑わす。年すでに長大なるも、夫婿(ふせい)なく、男弟あり、佐(たす)けて国を治む。王となりしより以来、見るある者少なく、卑千人を以て自ら侍せしむ。ただ男子一人あり、飲食を給し、辞を伝へ居処に出入りす。宮室・楼観・城柵、厳かに設け、常に人あり、兵を持して守衛す。
鬼道:呪術 夫婿:夫のこと 楼観:物見のための高殿。やぐらのようなもの 兵:兵器 |
訳
邪馬台国では、もともとは男の王を立てていたが、7,80年が過ぎ、国内が乱れ、戦争が何年も続いた。そこで諸国が一人の女子を王とした。名は卑弥呼といい、呪術を行い、多くの人がその占いを信じていた。年はとっていたが、夫はおらず、弟が補佐して政治を行っている。
女王となってから彼女を見た者は少なく、1000人の女を召使いとして近侍させている。ただ男が一人だけいて、飲食を給仕し、彼女の命令を伝えるため居所に出入りする。宮室・やぐら・城柵をおごそかに設けており、常に番人がいて、武器を持って守っている。 |
解説
卑弥呼は占い師だったんですね。当時占い師は神の言葉の伝達者として非常に畏怖されていましたから、卑弥呼の言うことは神の意見だと思って、みんな従ったのでしょう。卑弥呼は人前には出なかったようですね。その方が神秘性が増すからでしょうか。また卑弥呼は女王になった時、けっこう年をとっていたみたいですね。しかし召使いが1000人とはまたすごい(^^; |