大日本皇帝陛下及び大清国皇帝陛下は日本国より奉天省南部の地一切を清国に還付する為に条約を締結する事に決し、
之が為大日本帝国皇帝陛下は北京駐箚特命全権公使正四位勲一等男爵林薫を、
大清国皇帝陛下は欣差全権大臣太子太伝文華殿大学士一等肅毅伯爵李鴻章を
各其の全権大臣に任命したり。因って両国全権大臣は互いに其の全権委任状を示し其の善良妥当なるを認め左の諸状を協議決定せり。
第一条 日本国は明治28年4月17日、即ち光緒21年3月23日締結の下関条約第2条に因り清国より日本国へ譲与したる奉天省南部の地方即ち鴨緑江より安平河口に至り鳳凰城
海城及び営口に亙(わた)る以南の各城市、及び遼東湾東岸並びに黄海北岸に在りて奉天省に属する諸諸島の主権を挙げ
本条約第3条の規定に依り日本国軍隊が総て撤退する時該地方に現在する城塁、
兵器製造所及び官有物と共に永遠清国に還付す。因って下関条約第3条及び同条約中陸路交通及び貿易を律する為一の条約を締結すべしとの規定は之を取り消す。
第二条 清国政府は奉天省南部の地還付の報酬として庫平銀3千万両を明治28年11月16日、即ち光緒21年9月30日迄に日本国政府へ払い入ることを約す。
第三条 本条約第2条に規定したる報償金庫平銀3千万両を清国より日本国へ払い入れたるときは其の日より三箇月以内に還付地より日本国軍隊を総て撤退すべし
第四条 清国は日本国軍隊還付地占領中之と種種の関係を有したる清国臣民あるも、これを処罰し若しくは処罰せしめざる事を約す
第五条 本条約は日本文、漢文、英文にて各二通を作る。而して之の三本文は総て同一の意義を有すと雖も、若し日本文と漢文との間に解釈を異にしたるときは英文によって決裁すべきものとす。
第六条 (省略)批准書交換に関すること。特に重要で無し
署名
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