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1世紀早かった中国の大航海時代


コロンブスやバスコ・ダ・ガマなどによる大航海時代は知らない人はいないでしょう。しかし、それよりも1世紀早く大航海を行った明の鄭和のことは意外と知られてません。
鄭和は雲南出身のイスラム教徒で、明の成祖・永楽帝に仕えた宦官でした。宦官と聞くと暗いイメージがありますが、鄭和は堂々とした人物で宦官にありがちなこせついた所はありませんでした。そして、永楽帝が皇帝となるきっかけとなった靖難の変で戦功を挙げ、国政にも携わりました。そして永楽帝の命を受け、1405年大航海の途についたのです。

その艦隊はまさに大帝国明の国力を示すものでした。当時としては考えられない大きさの船だったようです。現在その船の櫓が発掘調査で発見されていますが、あっけにとられるほど巨大なものです。あまり巨大なので、文献史料『明史』でしか知られていない時には誇張されているのではないかといわれていたほどです。その巨艦の船が数十隻、乗員は1万を越えました。ちなみにコロンブスの船は乗員50名前後でした。後に現れるガレオンと呼ばれる船でさえ300人前後でしたから、いかにこの艦隊が凄かったか想像できます。

当時明は中国大陸を完全に制覇し、隣接する国々も明にひれ伏していました。永楽帝としては、艦隊を遠く東南アジア諸国まで派遣し明帝国の力を見せつけ、彼らを明に朝貢させようと考えたわけです。ヨーロッパの大航海時代は未知の土地の発見と、当時のヨーロッパで必需品だった香辛料を目的にする貿易のためでしたが、明の場合は朝貢を促すためだったのです。
そして鄭和はこの期待に見事応え、計7回の航海で、東南アジアばかりか、インド・中近東、果ては東アフリカまでその航海を広げていきました。今でも各地には鄭和の上陸を示す碑文などが残されています。

鄭和は朝貢を諸国に促すだけでなく、多くの発見物を中国に持ち帰りました。ラクダ・ダチョウ・シマウマ・ライオン・ヒョウなどの中でも最も永楽帝を喜ばせたのがキリンでした。中国の言い伝えでは、皇帝が最高の治世を行ったときのみに現れる聖獣が麒麟(きりん)なのです。発音が似ているため、鄭和はこれが麒麟だとしたわけです。鄭和の大航海は人々からも歓迎を受け、『三宝大監西洋記』(さんぽうたいかんせいようき)という物語にまでなりました。三宝大監とは鄭和の尊称です。

しかし、これだけの大航海の割には鄭和は有名ではありません。なぜでしょうか?それは、この莫大な費用が掛かる航海は、大国明を持ってしてもいつまでも続けることが出来なかったために、永楽帝没後まもなく中止させられ、鄭和も航海を止めてしまったからです。そして、航海の公式記録は宮廷の奥深くにしまわれ、やがて無くなってしまいました。鄭和の配下が書いた非公式な記録は残っていますが、公式の記録が無いものはあまり大きくは取り上げられないのです。ただ言えることは、最低でも15世紀までは東洋が西洋を上回っており、鄭和の大航海はそれを代表するものであったものであったということです。そして、この航海は東南アジアに中国人が進出する大きな契機となりました。東洋の大航海時代を演出した鄭和は、今でも東南アジアで尊敬されています。

※何故、鄭和の航海記録が無くなったのかは諸説があります。たとえば、 寺田隆信氏(「鄭和」清水書院)は

「鄭和を見習って南海遠征をしようとした宦官がいたので、航海を阻止しないと国民が苦しむだろうと考えた官僚の劉大夏が、故意に記録を焼いたのではないか」

という意味のことを述べられています。しかし、この話も証拠ははっきりしません。 信頼の置ける史料、萬斯同氏の『明史稿』(汲古書院)では、「宦官がよこせといったので、劉大夏は隠した」と書いてあり、 明の民間伝承集『智嚢』(増井経夫訳、朝日新聞社)でも、 「皇帝が財宝漁りの為に官吏を派遣して探したのを、担当の劉大夏が隠して渡さなかった」となっています。又、これとは別に、
「鄭和の功績をねたんだものが焼いた」(陳舜臣氏の説、「鄭和」人物中国の歴史、集英社)
「鄭和の航海記録は行方不明だが、明の末期に紫禁城を破壊した李自成の乱で焼失したのではないか」(小川博氏の説、「瀛涯勝覧(えいがいしょうらん)ー鄭和西征見聞録」吉川弘文館)

などとも言われています。今となってはなんともいえません。







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