どの歴史でもそうですが、歴史は時の政権の意向によって歪められてしまうものであり、政権交代の度にその政権に都合の良い歴史が編まれてきました。自分の政権の正当化はもちろん、打倒した政権をおとしめ、さらに敵の敵は味方ということで打倒した政権の対抗勢力を持ち上げるなど、様々な改ざんがなされてきました。その度重なる歴史歪曲のため、現在の歴史はもはや本質からかけ離れてしまっています。
しかも日本史のさらにやっかいな点は天皇という存在が歴史に大きく関わっている点です。これがさらに歴史をややこしくしてしまっているのです。
明治維新後、天皇は神聖化され過去の天皇像のみならず、それに関わる歴史までもが歪められてしまいました。たとえば、奈良・平安時代はきらびやかなイメージがありますが、実際は統治能力のない天皇・貴族による奴隷制であったと言えますし、後醍醐天皇をめぐる南北朝の動乱もかなり歪められています。また戦国時代諸大名が天皇をかつぐため京に上ろうとしたと言われていますが、当時は天皇という存在がほとんど知られてなく、実際は足利将軍を担ぐのが目的でした。このように天皇をめぐる歴史のズレは挙げればキリがありません。
歴史を学ぶ上で注意して欲しいのは、当時と今とでは価値観が全く異なっており、現在の視点で歴史を見下ろしても誤った認識に陥りかねないということです。真の歴史認識にはタイムスリップしたつもりで、その時代の一人物として歴史をとらえることが必要なのです。
徹歴ではこのような教科書には書かれていない、もしくは誤解されている歴史を中心に取り上げていきたいと思います。
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