歴史書 |
今村源右衛門英生 丸善ライブラリー145 |
片桐一男 |
丸善 1995 700円 |
「蘭学史研究者」としては、いろんな意味で遠くオランダまで鳴り響く、ギョロ目の片桐氏。そんな片桐氏が我々に見せてくれるのは、歴史の教科書では教えてくれない「阿蘭陀通詞」の世界。その知られざる世界を、通詞の一人「今村源右衛門英世」に焦点を当てて解き明かしてゆく。
さあこれで貴兄も蘭学の階梯を、チョットだけ上ってみましょう。
(By AK) |
黄門さまと犬公方 |
山室恭子 |
文春新書 710円 |
黄門さまと犬将軍綱吉のイメージを一新させてくれる本です。その根拠を史料を挙げてしっかり説明してくださるので、素人にもわかりやすいです。あとはAKさんの書かれた「黄金太閤」の紹介文をお読みください。同じ著者です。
(By あきつら)
「黄門様のウソツキ!」にはウケた。これが新書かと疑うくらいの読みやすさ。研究者とはとても思えない。非常に気軽に読むことができるので、少しでも興味がある人は騙されたと思って読むことをお薦めします。
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新選組始末記 |
下母澤寛 |
中央文庫 757円(税別) |
新選組研究の第一人者である著者の代表作であり、現在の新選組研究家達にとってもバイブル的存在の一冊。この作品により新選組はそれまで歴史の中に埋もれて無名に近かったその名を一躍世の人々に知らしめたと言えよう。近藤道場から勇の首塚まで、新選組の誕生からその終焉までを彼らと同じ時代を生きた人々の証言に基づき記録している。
最近の研究で細かい真偽云々はあれども現在でも新選組研究の金字塔たる本である。
(By 弁天小僧菊之助) |
武士の娘 |
杉本 鉞子著 大岩美代訳 |
筑摩書房 ¥816(税別) |
長岡藩家老の娘であった杉本鉞子さんの回想録。武家の娘に生まれた彼女がどう育てられたか、また当時少女であった彼女の目を通しての長岡戦争、維新、維新後の長岡藩の人々について書かれています。後半は彼女が御主人と結婚して、アメリカに渡ってからの生活について書かれているのであまり面白くないかも。
武士道というものに感銘を受けた著作でもありました。(私は、武士道は日本人が作り上げた精神美の粋だと思うし、好きなのですが、また同時に劇薬のようなものであり、用い方によっては毒にも薬にもなると思っています。)
(By 加尾) |
氷川清話 (付勝海舟伝) |
勝部真長 |
角川文庫ソフィア 640円(税込み) |
晩年の勝海舟の語録。 大きくは、「自己の経験について」、「古今の人物について」 「日本の政治について」、「日本の財政について」、 「日本の外交について」、 「理屈と経験について」、 「精神上の一大作用について」、「わが文芸論」、 「歴史と人生について」、に分かれています。
勝海舟が、何を、どう考え、行動していたのかがわかると共に、口語調(江戸っ子弁)で書かれているので、 まるで目の前で彼の話を聞いているかのように、 彼の人柄が生き生きと浮かび上がります。 勝海舟伝もなかなか面白いです。
(By 加尾) |
海舟座談 |
巖本善治編 勝部真長 校注 |
岩波文庫 620円 |
同じく晩年の勝海舟の語録。 これは、編者の巖本氏が、勝邸を訪れては勝海舟から 色々な話を聞き出し、その内容を訪問年月日毎に筆録したもの。多少氷川清話と重複した内容もありますが、
氷川清話に載っていない話も沢山有りますので、氷川清話を読んで勝海舟の事をもっと知りたくなった方に是非。
(By 加尾) |
敗者の維新史 | 星 亮一 |
中公新書
¥680(税別) |
会津藩の中級武士、荒川類右衛門勝茂の日記を元に構成されています。戊辰戦争での会津武士の生きざま、また維新後の彼がどういう運命を辿ったかが克明に記されています。家族についての記述も多く、幕末・維新を生きた人の苦悩を思い、また武士道の功罪についても考えさせられた一書です。
藩と藩主に忠誠を尽くして戦った彼が、旧藩主松平容保が亡くなった日の日記には、その死についてわずか一行書き記しているのみ、というのが印象的でした。
(By 加尾) |
一外交官の見た明治維新 上下巻 |
サトウ,E.M.著 坂田精一訳 |
岩波文庫 各¥553(税別) |
幕末・維新を、第三者であるイギリスの若き外交官、アーネスト・サトウの目を通して冷静に観察しています。彼が日本国内を移動した際の道中記も面白い。また彼は佐幕・倒幕に関わらず、多くの藩主・藩士達に面会しているので、その時の談話なども興味深い。幕末・維新を別の角度から眺めてみたい貴方へ。
ちなみに終戦前は二十五年間禁書だったそうな。
(By 加尾) |
国定忠治 |
高橋敏 |
岩波書店(岩波新書) 2000年 660円(税別) |
幕末の北関東を舞台に活躍した任侠の徒,国定忠治.彼は大衆文学,講談,映画,浪曲の世界において公権力に対抗するアウトローとして現在まで語り継がれる存在であるとともに,アウトローとしては極めてまれなことに同時代人の学者官僚羽倉外記の手による伝記資料が遺された人物でもある.本書はこの伝記資料やフィールドワークでえた知見を基に伝承に見られる脚色を排して忠治の実像にせまると共に忠治を当時の歴史の中に位置づけることを試みる.忠治の生涯,活動の究明を通じて明るみに出される江戸幕府による支配体制の弛緩,北関東の農村社会の一端が現在の我々にも極めてわかりやすく伝わってくる.
(By ひで) |